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アサリパニックから産地偽装が止まらない。牡蠣(カキ、かき)はどうか?

今度はワカメ!?

 

静岡市のワカメ加工業者の役員が15日、食品表示法違反の疑いで逮捕されました。中国産のワカメ原料を仕入れて、製品に鳴門産のシールを貼って出荷していたとの疑惑です。産地を偽る点で、アサリパニックと類似しています。

 

12月頃から業界内で噂があがっていたのは、アサリよりもワカメでした。昨年から捜査の進展が注目されていました。ただ公然の秘密であったアサリの告発がなされたことで、大手メディアでの露出が後になったという感があります。

 

食品速報は10年以上にわたって、疑念を抱き取材を続けたきたと言います。社長が逮捕された「黒汐の華」の偽装情報は既に2012年にキャッチしていたといいます。この問題についても長らく自浄作用が働かなったことが了解されます。

 

黒汐社の価格優位のワカメに飛びついた販売先は、12月の師走の時期にあわてて撤去作業をひそかに行っていたとそうです。やはりディスカウント系の販売先が中心です。

 

※“産地偽装”今度はワカメ 外国産を「鳴門産」に…

 

 

 

牡蠣については韓国産による偽装は生じにくい!?

 

牡蠣については偽装の可能性はないのでしょうか。

 

かつて席巻した韓国産かきの価格は、国内産と同等になっています。国内に持ち込んでも利益がでない状況です。韓国産を積極的に販売していた業者の多くは、すでに利益を蓄積して手を引いたそうです。その意味では、アサリと同様の問題は生じにくいです。

 

過去には次のような事例がありました。

※安全なものを食べるには?

 

 

 

国内の産地間偽装という問題

 

ただ、牡蠣の場合は国内産地によってシーズンごとに出来不出来や価格の違いがあります。

 

それゆえ、国内の産地間での偽装は可能です。

 

岡山産を広島産として売る。石巻産を広島産として売る。広島産を石巻産として売る、などのパターンです。

 

安い産地から仕入れて売れば利益が見込めるので、悪意ある動機が生じる余地があります。

 冷凍よりも生の場合、卸売市場を通じて次々と消化されるのでトレースがしにくいです。仮に「国産ということで良いのではないか」という雰囲気があるとすれば、問題でしょう。

 多数の産地を扱っているメーカーの場合は、各産地での仕入実績と販売実績の公表報告、トレーサビリティの徹底、行政による監視などが本来的には望ましいです。

 

米分一・カネウグループは広島の生産者による牡蠣のみをこだわって扱う出荷仲卸です。手を広げすぎず、結果的に他産地からの仕入がないことが、お客様には安心材料に繋がっています。亜鉛サプリ「令和の広島かき」は、この米分一によるこだわりの粒選りの広島産かきの価値を知ってもらうために開発した商品にすぎません。

 

 

 

 

ところで、今年の広島産かきは必要量が集荷できない状況が続いています。生産者からの仕入値は2割も上昇しています(2022年2月19日みなと新聞)。

 その理由は、①コロナ禍の待機措置で生産者が思うような操業できないこと②市場の安値に抗議し、有力生産者は牡蠣をあえて「剥かない」選択ができること③来秋に向けた牡蠣フライや冷凍IQF製品をはじめとした冷凍加工メーカーの買付が始まっていること、などがあります。

 

そうした状況にもかかわらず、一般的な仕入価格より安値で生かきを提案している事例が散見されます。

各出荷企業によって工場稼働率を確保する必要性や赤字を覚悟した販売戦略などがあるため、一概には不当ではないです。

 とはいえ、過度な価格競争は、過酷な労働環境の中で育て上げた牡蠣の魅力を客観的に下げるものです。また、上記の意味での産地間偽装が疑われる背景になってしまうのも事実です。

 

 皮肉にもアサリの産地偽装の問題を受けて、スーパーから生牡蠣の需要が高まっています。ただ、業界としては、この事件を「他山の石」としてこそ。価格要素のみならず、牡蠣の選別や品質力による健全な競争市場を今一度取り戻すのが重要な課題です。

 

 

買う側も、知らなかったではすまされない

 

 買う側としても、水産物に関し「お客様に良い物を1円でも安く」という視点だけでは不足になります。あまりにも相場に反した商品は、慎重に取り扱う道徳的義務があると言うべきでしょう。

 

今回の鳴門産ワカメの偽装を行った業者の特徴は次のようなものと噂されていました。形式的な産地証明書などのアリバイ作りだけではなく、産地やメーカーとの真の対話こそ求められます。

 

 捜査対象となっているメーカーはどういう先なのか。「(1)国産ワカメの扱いが主体で業歴は半世紀以上」「(2)ワカメや海藻の著名な協会や地元組合にはほぼ加盟していない」「(3)近年は冷凍魚や茶類なども販売しているが、長年にわたり塩蔵ワカメや乾燥ワカメの加工・卸売事業が主力」-などがその輪郭。どちらかというと「価格面」に強みを発揮し、ディスカウントスーパーを販路に持つ関東の市場大卸や仲卸に重宝される存在だが、「価格が安すぎる」ということで、数年前から「原料はグレーな一面も」(同業筋)と評されがちだった。日刊食品速報2021年12月15日

 

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「合同会社イシュメイル」は、魚食の健康機能性を軸とした食文化の創造再生を理念とした会社です。現在、スーパーマーケット、生協、居酒屋チェーン、飲食店などのお客様に向けての様々なサポートを実践しております。また、「令和の広島かき」をはじめとした水産系素材のビタミンやミネラルといった栄養成分を活用したサプリメントの開発を行っております。

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