牡蠣がなくなる!?鍋物商材で唯一価格が上がっている真の理由
生牡蠣の豊洲相場が硬めに推移している
資源高と円安の影響で食品の値上がりが続いています。その中でタラや白菜などの鍋物商材が値ごろ感がでています。ただ牡蠣は例外で一割ほど上がっています。
牡蠣は昨年比で1割高です。新型コロナ対策である蔓延防止措置の適用および延長で、業務用需要が落ち込む中で
昨年同様に下げ相場になるのかと思いきや、硬めの相場が続いています。
その理由
コロナ禍で、牡蠣剥き作業に従事する外国人技能実習生が入国できず、思うように生産できないと報道されています。濃厚接触による待機期間の影響で生産者が休むという事態も生じています。
ただ、真の理由は、一時的ではなく複合的なものです。
第一に、牡蠣養殖の収量が落ちています。
広島県もここ数年「むき身換算2万トン」という言い方ができない状況です。シェア率は大きく下がっていないので、全国的に収量が減少しています。※広島市水産振興センター
結果的に産地での仕入価格がすでに高騰しています。
地球温暖化などの影響もあるでしょうが、過酷な環境下での牡蠣養殖業に従事する人材が減っているのが直接の原因です。シンプルな理由です。広島においてかき生産者(経営体数)は、昭和42年に約1000あったが、現在は296経営体に減少しています。岩手、宮城といった東北地方の産地においては、東日本大震災の影響が今でもボディーブローのように影響しています。
第二に、牡蠣フライをはじめとした加工品需要です。
数量と価格形成力において生出荷の需要を上回っている感触があります。油を使うフライは家で揚げない人もいるでしょう。名のあるレストランでさえ使い勝手がよい冷凍IQF(個別急速凍結品のこと)を選択する傾向があります。
こういう状況において冷凍メーカーによる牡蠣買付も早期に本格化します。大粒、中粒かきの確保は特に死活問題です。
かつては加工原料としての牡蠣買付は価格が軟化する(安くなる)3月以降の話でした。
しかし現在では、スーパーの惣菜売場、揚げ物専門店や弁当業界へのフライ需要への対応のために年明けからの原料確保に動かざるをえなくなっています。販売価格が定まらないうちに、高い値段で原料仕入を行い、資金を寝かせながら次の秋口の販売に備えていくのです。過去に産地偽装などで利用されたこともある韓国産の牡蠣なども、安価に仕入れることは難しくなっています。
価格についても生かきでの出荷に優位性がありましたが、冷凍メーカーの値付けも高くなっています。春になっても価格は下がらないので、生産者としても秋冬のうちに焦って牡蠣を剥く理由がなくなったのです。
このような背景から、無理な値付けを求める市場には生鮮牡蠣は集まらない状況になります。
意識の高いスーパーマーケットにおいては産地の出荷業者との「取組」を強く意識する流れが生じています。すでに春先までの販促計画を提出して、スーパー側から確保の動きもあります。バラ牡蠣のスーパーにおける販売価格も徐々に見直される機運があります。
第三に、安価な労働力として技能実習生を利用する構造への反省
そもそも彼らは労働力である前に、一人一人の人間です。行き過ぎた価格競争や廉売をキャッチアップするために、安価な労働力として利用することは間違っています。
コロナ禍は、そうした彼らの過酷な労働によって、異常な安値が継続されてきた矛盾を炙りだしました。むしろ、この機会を好機として牡蠣の品質を軸とした適正な価格形成が行われることを願います。
生牡蠣の生産や加工に関わる労働は大変です。機械化も容易にはできない部分があります。ただ、下記のひろゆき動画のような問題意識は(その言い方は別にして)今後重要になってきます。
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