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商業捕鯨の現状について:ひろゆきさんの懸念も払しょくされつつある

 

ついに新たな捕鯨船の建造が発表されました。業界関係者には安心感が広がっています。

 

※朝日新聞 捕鯨母船、下関で新造 24年に完成予定

 

日本経済新聞2021年12月22日

 

 

商業捕鯨になり、反捕鯨からの自由よりも、<経済的な自立>ということが、国民目線で求められるようになりました。

 

今は、鯨肉の供給量激減によって冷凍在庫も適正な範囲でおさまっています。コロナ禍が収まれば飲食店向けの販売が進み、在庫になっている部位についても、むしろひっ迫感がでてくる可能性があります(ただし、量販店関連での販売ペースは各店では微減が続いており、団塊の世代が75才以上になる中で需要が着実に減少していることは否めないです)。

 

また、新たな船の建造費を60億円に抑えたり、捕鯨主体が組織改革に取り組むことで、税金のかからない捕鯨への意思が示されています。

 

鯨肉の味わいについては嗜好の問題で、必ずしも牛の方が美味しいというわけではないです。鯨肉の場合は伝統的に生食できるメリットがあります。熟成や血抜きに関しては加工技術の進展がすすみ、一定の評価を得ています。また表皮を用いて製造するくじらベーコンに関しても独特の食感とクセが病みつきになる若い方もいて、手堅い需要があります。

 

そう考えると、ある意味において、ひろゆきさんのような懸念が払しょくされつつあります。

 

 

 

↑2分38秒から

 

輸入品を含めて3,000トン近くあった供給が、コロナによる輸入中断により1,750トンに激減した背景において、①鯨肉卸売価格の上方修正と②業務筋(=飲食店)需要の減少によって、結果的に需要と供給がバランスした感があります。今は小康状態です。

 

とはいえ、母船式の商業捕鯨の自立的経営のためには、現状より800トン以上多い2,550トン程度の鯨肉原料を一定の価格で販売できる需要創出は、今後も欠かせない作業です。アイスランドからの輸入品を考慮すると、やはり3,000トン程度のマーケット規模の維持がかかせません。

 

そのためには現状の需要を維持しつつ、輸入や捕獲数量の増加に合わせて徐々に市場を拡大していく、極めて慎重な制球術が必要となります。というのも、他の野菜や主要な魚種などと異なり、鯨の場合は価格弾力性によって一度失われた需要を取り戻すことが難しいからです。

 

今後の展開や取組に大いに期待していきたいです。

 

 

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