新型コロナと亜鉛の関係についての資料:亜鉛の有用性に関するエビデンス
亜鉛の有用性に関するエビデンスについて 日本生活習慣病予防協会のホームページより
新型コロナに関する亜鉛の有用性についてエビデンスがはっきりしてませんでしたが、次のようなホームページがあるので紹介します。
http://www.seikatsusyukanbyo.com/main/opinion/011.php
日本においては、医療関係者がサプリメントに関して積極的にコメントすることは少ないです。しかしながら、亜鉛の効能については既に認められているところです。より全体的な視点から<治療目的>ではなく、<補完療法>として摂取をおすすめするカルチャーがあってもよいのではないかと思います。
亜鉛も過剰摂取について注意が必要です。また、その摂取については牡蠣やしらす、レバー、肉類をはじめとした食品から補うのが本来でしょう。ただ、現代においては偏食やアルコール飲料の飲み過ぎなどから不足が指摘されており、状況に応じて信頼の置けるサプリメントによる補給を視野にいれるのが現実的な選択です。
弊社では、広島県産牡蠣由来の亜鉛に、その吸収を高めるビタミンCと八重山クロレラ(ビタミンD、葉酸)を含有した特別な亜鉛サプリメント、令和の広島かき を提案しています。高圧酵素分解牡蠣エキスと国産クロレラという良質な素材のみで構成された製品です。
>>>>>>>>>> 以下、引用になります。重要と思われるところに引用者が下線をひきました。
新型コロナウイルス対策ー亜鉛の有用性に関するエビデンス
蒲原 聖可
健康科学大学 客員教授・DHC特別研究顧問
日本生活習慣病予防協会 顧問
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染を原因とするCOVID-19が、パンデミック(世界的大流行)となっています。WHOによると、2021年2月3日現在、223の国と地域で、一億人以上(103,362,039人)の感染者が確認され、220万人以上(2,244,713人)が死亡しました。
COVID-19は、すでに感染が世界規模で拡大したことや、無症状の感染者がいることなどを考えると、根絶や封じ込めは困難と考えられます。2度目の緊急事態宣言が発出された現在、COVID-19対策として、① 原因ウイルス(SARS-CoV-2)への接触機会を減らす、② 私たちの身体の抵抗力を高める、という2つが大切です。
現在、COVID-19対策として、ウイルスへの暴露機会を減らす予防策(マスク着用や手指消毒、3密回避など)が推奨されています。
一方、ヒトの側でのウイルス感染への抵抗性を高める対策も大切です。すなわち、免疫能を含めた生体防御機構の維持・亢進によるウイルス感染への対策であり、具体的には、適切な食事・運動・睡眠であり、機能性食品成分も注目されています。
ビタミンやミネラルといった必須微量栄養素は、免疫能の維持に文字どおり必須です。 また、オメガ3系必須脂肪酸、プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌)、ハーブ類も、生体防御機構での働きから、COVID-19対策としての有用性が示唆されています。
ビタミンやミネラルは、普段の食事にも含まれていますが、COVID-19対策として、毎日、十分な量を確実に、食事からだけで摂れるでしょうか?。すでに、COVID-19の感染予防や軽症者の重症化予防に関して、機能性食品成分の有用性を示した数多くの研究論文が発表されていますが、残念ながら、機能性食品成分の有用性に関する情報は、日本では、あまり知られていないように感じます。むしろ、機能性食品成分を含むサプリメントについては、知識不足やダブルスタンダードに基づく発言も散見されます。
感染症やAIの専門家が、臨床栄養に詳しいとは限りません。COVID-19に対する食品成分の有用性に関するエビデンスは、インフォデミックと混同されることさえあります。
日本では、ウイルスへの暴露対策の他には、医薬品やワクチンには取り組んでいますが、機能性食品成分の有用性に関する啓発や研究などの取り組みでは立ち遅れています。しかし、有用性に関する一定のエビデンスがあり、諸外国では、臨床試験も進んでいる機能性食品成分に関する適切な情報は重要と考えます。
例えば、亜鉛は、RNA依存性RNAポリメラーゼの活性を直接阻害して、ウイルスゲノムRNAの複製を抑制し、ウイルス粒子の複製を阻止します。
現在、世界各国で、COVID-19の予防や治療を目的として、ビタミンやミネラルを投与する臨床試験が計画され、進行しています。例えば、米国などでは、COVID-19感染予防として、医療従事者を対象に、ビタミンやミネラルを投与する臨床試験が進められています。
なお、「マスク着用・手指消毒vs.ワクチンvs.サプリメント・機能性食品成分 vs.医療用医薬品」という対立構図ではありません。機能性食品成分を含むサプリメントは、セルフケアで利用でき、補完療法としてのシナジーも期待されます。
当協会のサイトでは、これまでに次のような情報提供を行ってきました。
新型コロナウイルス ‐ ビタミンCによるCOVID-19対策
新型コロナウイルス ‐ ビタミンDによるCOVID-19対策
今回は、COVID-19の感染予防および重症化予防に関する「亜鉛」のエビデンスを概説します。
亜鉛の抗ウイルス作用と呼吸器感染症予防効果
1. 亜鉛は免疫機能に必須
亜鉛は、必須微量元素(ミネラル)の一つであり、生体内の数百種類の酵素の働きに必要です。また、亜鉛は免疫の機能の維持にも欠かせないミネラルであり、亜鉛が欠乏すると、Bリンパ球数と抗体の産生が減少します。
これまでの研究では、亜鉛欠乏では、風邪の原因ウイルス、HSV、HCV、HIVなどのさまざまなウイルスの感染リスクが高まることが示されています。
2. 亜鉛がウイルスを抑えるメカニズム
亜鉛による抗ウイルス作用について、いくつかのメカニズムが考えられています。
まず、亜鉛は、インターフェロンの産生を増やし、抗ウイルス作用を示します。また、亜鉛は細胞膜を保護し、安定化することで、ウイルスの細胞への侵入を阻害します。
亜鉛の特徴として、クロロキンなどのイオノフォア(細胞などの生体膜に作用し、特定のイオンを選択的に透過させる働きをもつ、脂溶性の低分子化合物の総称)と併用投与することで、亜鉛の抗ウイルス作用が増強されることがわかっています。
3. 亜鉛はコロナウイルスの複製を阻害します。
コロナウイルスは、RNAウイルスに分類されます。RNAウイルスに対して、亜鉛は、RNAウイルスを複製する酵素であるRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を阻害することで、ウイルスの複製を防ぐ働きがあります。
この作用は、SARSコロナウイルス(SARS-CoV-1)を用いた研究でも確認されています。
4. 亜鉛が風邪や肺炎を予防・改善する
亜鉛の欠乏や不足は、免疫能の低下から、呼吸器感染症を含めた、さまざまな感染症のリスクが高くなります。また、亜鉛サプリメントによる風邪や肺炎の感染予防や症状改善効果が示されています。
これまでの亜鉛を投与した研究に関する系統的レビュー/メタ解析によると、
- 成人における風邪の罹病期間が33%短縮、
- 小児5,193 人では肺炎の罹患率が13%低下、
- 成人2,216 人での重度の肺炎の死亡率が低下
といった亜鉛の効果が見出されました。
COVID-19対策における亜鉛の臨床的意義
1. COVID-19の高リスク群は亜鉛不足
肥満や糖尿病、高齢者などは、COVID-19の高リスク群です。これまでの研究では、これらの人々では、亜鉛が低値であることがわかっています。
例えば、加齢に伴う免疫能の低下は、免疫老化として知られており、亜鉛の利用効率の低下が関係します。また、2万人の糖尿病患者を調べた研究では、亜鉛低値が認められました。
2.医薬品が亜鉛を低下させる
医薬品の一部は、亜鉛の血中濃度を低下させる副作用があります。
まず、高血圧の治療薬である降圧利尿剤は、尿中亜鉛排泄を増加し、組織中の亜鉛濃度を低下させます。6ヵ月以上の服用では、血中の亜鉛値が大幅に低下します。
また、ACE阻害剤やARBという種類の高血圧治療薬も、血中亜鉛濃度が低下します。その他、スタチン剤の服用も、亜鉛の低下を生じることがわかっています。そのため、高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病患者は、COVID-19の高リスク群である上に、医薬品服用が原因の亜鉛不足というリスクもあります。
3.亜鉛不足ではCOVID-19が重症化し予後不良となる
COVID-19重症例では亜鉛不足であること、また、亜鉛欠乏例では予後不良となることが報告されています。
まず、フランスにおいて、COVID-19成人患者108人(重症者34人を含む.重症は6L/分以上の酸素投与必要例と定義)を調べた研究では、COVID-19の重症度が、亜鉛の低下と有意に相関していました。血中亜鉛値は、COVID-19非重症者74人では0.7±0.2 mg/L、重症者34人では0.6±0.1 mg/Lであったということです。
次に、亜鉛が欠乏していると、COVID-19の予後が不良という研究がインドから報告されています。具体的には、COVID-19入院患者47人の亜鉛値を測定し、健常対照者45人との比較が行われた結果、COVID-19患者では、亜鉛値が有意に低値でした。
COVID-19患者のうち57.4%(27人)が亜鉛欠乏症であり、この患者群では、合併症や急性呼吸窮迫症候群のリスクが高く、ステロイド療法の必要性、長期入院、および死亡率の増加が認められました。
4. 日本人での亜鉛低値はCOVID-19重症化因子
日本人のCOVID-19患者でも、血中亜鉛の低値が、COVID-19の重症化因子であることが示されています。
具体的には、2020年3月から5月までの間に、大阪府の堺市立総合医療センターに入院したCOVID-19患者62人を対象に、血中亜鉛の濃度とCOVID-19重症例との関連が検証されました。重症度の内訳は、軽症・中等症が49人、重症が13人でした。
29人の患者で血中亜鉛値が測定された結果、亜鉛の血中濃度は、軽症・中等症(22人)では平均87.7μg/dL、重症(7人)では平均62.4μg/dLであり、重症の患者では亜鉛が低い値でした。
また、29人中9人が、亜鉛欠乏症である低亜鉛血症(血清亜鉛値が70μg/dL未満)であり、その患者群での重症度の内訳は軽症・中等症が3人 (14%)、重症が6人(86%)でした。
これらのデータに関する解析の結果、低亜鉛血症がCOVID-19の重症化リスク因子であるとされました。
COVID-19に対する亜鉛の有用性エビデンス
1. 亜鉛がCOVID-19の症状を24時間で改善
米国からの症例報告では、COVID-19の症状初期に、高用量の亜鉛を摂取することで、24時間以内に、症状の軽減を認めたということです。米国では、風邪やインフルエンザの初期に、高用量の亜鉛を摂る対症療法が知られています。
米国において、高用量の亜鉛塩トローチの摂取後24時間以内にCOVID-19の症状軽減を認めたとする4症例、報告されました。4例のうち、2例はクエン酸亜鉛(23 mgの亜鉛)、1例はクエン酸亜鉛/グルコン酸亜鉛(23mg)、1例は酢酸亜鉛(15mg)が用いられ、2-4時間毎にトローチを服用し、20-30分かけて溶解しました。
なお、摂取量として、1日200mgを超えないように指示されています。発熱や咳、疼痛などの症状を感じた初日から亜鉛トローチを開始し、摂取期間は、10日間から14日間でした。
2. 治療としての亜鉛投与例
米国では、2020年初期の段階で、COVID-19治療アルゴリズムに亜鉛投与が含まれており、治療の一環として実施されています。例えば、2020年3月に、米国ニューヨーク市の病院に入院したCOVID-19患者371人に対する治療として、88%が亜鉛投与を受けていました。
前述の日本人COVID-19患者において、亜鉛低値が重症化リスク因子であることを示した報告では、重症患者への亜鉛投与の経過が示されています。具体的には、ICUに入院した重症患者4人は、当初、いずれも亜鉛欠乏の状態でしたが、経腸栄養によって亜鉛を含む適切な栄養管理が提供された結果、血中亜鉛濃度が漸増し、1ヶ月程度で症状が改善し、退院しました。
3. 亜鉛により院内死亡率が24%低下
前述のように、亜鉛は、RNAウイルスの複製を阻害することから、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する有効性が考えられます。
米国では、亜鉛+イオノフォアの投与により、COVID-19患者の院内死亡率が24%低下したと報告されています。具体的には、2020年3月10日から5月20日までの間にニューヨーク市の4つの病院に入院したCOVID-19成人患者3,473人が対象となり、そのうち1,006人(29%)が亜鉛+イオノフォアを投与されました。
解析の結果、亜鉛+イオノフォア投与群は、非投与群に比べて、院内死亡率が24%低下していました。
米国ニューヨーク市の医療機関からの別の報告では、他の治療法(医薬品)と亜鉛を併用して投与することで、退院率が高く、ICUへの入院が低く、死亡率あるいはホスピス移送の割合が低いというシナジーが示されています。
4. COVID-19治療としての亜鉛投与試験
以上のように、COVID-19対策として、亜鉛の有用性が示唆されています。
2021年1月現在、COVID-19の予防や治療に関して、亜鉛の有用性を調べるために、45以上の臨床試験が、登録され、進行中です。
なお、これらの臨床試験では、亜鉛サプリメント単独の投与ではなく、ビタミンCやビタミンDとの併用投与、医薬品との併用投与です。
亜鉛の用法・用量
1. 亜鉛の推奨量
日本人の食事摂取基準2020年版での亜鉛の推奨量は、男性では、18歳から74歳まで11mg、75歳以上で10mgです。女性では18歳以上で8mgです。また、耐容上限量は、年代により、男性では40mg~45mg、女性では30mg~35mgとされています。
亜鉛サプリメントは、適切な摂取量であれば、高い安全性が示されています。免疫能の維持など保健機能のための一般的な亜鉛サプリメントの摂取目安量は、1日あたり10mg~20mg前後です。
症状の改善を目的とした場合、予防よりも多い量を数日間、摂取します。例えば、風邪に対する亜鉛の有用性を検証した臨床試験では、亜鉛を1日あたり80mgの用量で、数日間の投与が行われています。
また、症状の初期に、亜鉛トローチ(13mgの亜鉛含有)を日中に1時間から1時間半ごとに、1日6回摂取し、合計80mg/日の投与などという方法もあります。
その他、日本での亜鉛欠乏症の治療指針では、亜鉛として成人50~100mg/日、小児1~3mg/kg/日または体重20kg未満で25mg/日、体重20kg以上で50mg/日を分2で食後に経口投与とされています。
おわりに
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の現状、つまり、世界での感染者が一億人にせまる感染の拡大や、症状がない不顕性感染の存在を考えると、ウイルスの根絶は現実的ではありません。また、治療薬に関しては、副作用や耐性ウイルスの発生リスクがあります。さらに、ワクチンについては、有効性や持続性、接種の優先順位や安定供給、副反応、変異株の出現などの課題が生じます。
亜鉛の免疫調節作用や抗ウイルス作用は確立しています。また、COVID-19治療における補完療法として、一定の有用性が示されています。
本邦も含めた先進国でも、亜鉛の摂取不足が示されており、特に、COVID-19の高リスク群である肥満や糖尿病などの生活習慣病有病者で顕著です。さらに、降圧剤などの医薬品の投与が、亜鉛不足を生じるリスクとなります。
COVID-19対策において、ビタミンやミネラルといったサプリメントは、治療目的ではなく、免疫能を維持し、感染に対する抵抗性を高める補完療法としての位置付けとなります。
ウィズ・コロナとなった今日、公衆衛生の視点から、新型コロナウイルス感染への予防およびCOVID-19の重症化予防として、セルフケアにおける亜鉛サプリメントの活用も選択肢となります。
参考文献
1) 蒲原聖可. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防および治療に関する亜鉛の臨床エビデンス.医と食. 2021;13:in press.
2) 蒲原聖可. EBMサプリメント事典-科学的根拠に基づく適正使用指針.2008年. 医学出版社,東京.
3) 蒲原聖可. サプリメントと医薬品の相互作用ハンドブック―機能性食品の適正使用情報.2015年. 医学出版社,東京.
関連情報
健康機能性に基づく魚食文化の創造再生 | 合同会社イシュメイル
「合同会社イシュメイル」は、魚食の健康機能性を軸とした食文化の創造再生を理念とした会社です。現在、スーパーマーケット、生協、居酒屋チェーン、飲食店などのお客様に向けての様々なサポートを実践しております。また、「令和の広島かき」をはじめとした水産系素材のビタミンやミネラルといった栄養成分を活用したサプリメントの開発を行っております。
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