味噌を“土手”にするのはなぜ? 広島かきの土手鍋を家で楽しむ
夜になると少し冷え込み、そろそろ鍋が恋しい季節です。11月2日には今季の広島かきの水揚げが始まる予定で、スーパーや通販で牡蠣を見かける機会も増えてきます。
広島の牡蠣料理といえば、やはり「かきの土手鍋」。でも、どうして味噌を鍋の中に全部入れず、わざわざ縁に塗るのでしょうか。名前にまつわる三つの説と、家庭で楽しみやすい作り方を紹介します。

土手鍋の名前には三つの説がある
農林水産省の「うちの郷土料理」では、名前の由来として三つの説が紹介されています。
- 味噌を鍋の内側に、土手のように塗るから
- この料理を考案した人が「土手長吉」さんだったから
- 広島の牡蠣を大阪へ運んだかき船が、川の土手で鍋を食べさせていたから
どれか一つに決まっているわけではありません。由来を思い浮かべながら囲むのも、郷土料理ならではの楽しみです。
味噌を縁に塗ると、味を自分で決められる
土手鍋の面白さは、鍋の縁に塗った味噌を少しずつ崩しながら、好みの濃さにできることです。最初はだしの味を残し、煮立つにつれて味噌を溶けば、食べ進める間にも味が変わります。
赤味噌だけでは力強く、白味噌だけでは甘くなりやすいところを、二つを合わせて家庭好みに調整できます。「今日は少し甘め」「締めのうどんに合わせて濃いめ」と変えられるのも魅力です。
- 加熱用牡蠣:300g
- 豆腐:1丁
- 白菜、白ねぎ、春菊、にんじん、きのこ類:食べやすい量
- 糸こんにゃく:1袋
- 赤味噌・白味噌:各100g
- 酒・みりん・砂糖:各小さじ1
- だし汁:鍋の大きさに合わせて適量
作り方は「味噌の土手」ができれば難しくない
- 牡蠣は薄い塩水でやさしく振り洗いし、水を替えてすすぎ、水気を切ります。
- 野菜、豆腐、糸こんにゃくを食べやすい大きさに切ります。
- 赤味噌、白味噌、酒、みりん、砂糖を混ぜ、土鍋の内側の縁にぐるりと塗ります。
- 鍋底に白菜の芯を敷き、野菜や豆腐を並べ、中央に牡蠣を置きます。
- だし汁を加えて火にかけ、煮立ったら味噌を少しずつ崩します。
白菜の芯を底に敷くのは、具材が鍋底に付きにくくする昔ながらの工夫です。だしを入れすぎると味噌をたくさん溶かすことになるため、最初は控えめにし、必要なら足すと味を整えやすくなります。
牡蠣は中心までしっかり加熱
鍋用には「加熱用」と表示された牡蠣が使いやすいでしょう。生食用と加熱用は鮮度の優劣ではなく、採取海域や加工基準などの違いです。加熱用は表示に従い、中心まで十分に火を通してください。
味噌が濃いと牡蠣の火の通り具合を見た目だけで判断しにくいことがあります。鍋をしっかり煮立て、牡蠣の中心まで加熱してから食卓へ。残った鍋を食べ直す場合も、全体を十分に再加熱します。
「生食用」と書かれていない牡蠣は、生では食べません。詳しい違いは、「生食用」と「加熱用」の選び方をまとめた記事で紹介しています。
締めまで楽しめるのが鍋の良いところ
具材を食べ終えたら、うどんを入れたり、ご飯と溶き卵で雑炊にしたり。牡蠣と野菜の味が移った汁を最後まで楽しめます。味が濃くなっているときは、だしや湯を少し足してから締めを作ると食べやすくなります。
農林水産省によると、土手鍋は広島市、江田島市、宮島、呉、音戸地方などに伝わる冬の郷土料理です。水揚げを待つこの時期、今年の最初の牡蠣をどう食べようか考える時間も、季節の楽しみの一つです。
今年の広島かき情報も確認を
今季の水揚げ予定や、一部漁場で報じられたへい死、貝毒検査の最新情報は、11月2日の水揚げと最新検査をまとめた記事で整理しています。生産状況は海域や時期で変わるため、購入時には販売者の案内も確認してください。
参考情報
本記事は2026年10月30日時点の公表資料をもとにしています。地域や家庭によって材料・作り方は異なります。特定の商品やサプリメントの効能・効果を示すものではありません。