コロナ禍が始まって以来、食品業界は最悪の状況にある
観光需要や業務筋という需要の喪失は続いている
食品流通業界は、コロナ禍でもっとも厳しい状況にあります。切実な現場の声です。
観光需要や業務筋という需要の喪失は続いています。「6割ほどの稼働」という意見になんとなく集約されつつあります。
行動制限の緩和により、一定の業務系の需要が戻りつつありますが、そもそも変わらぬクオリティで料理を提供している店舗に限られます。マスク会食などの制約があっても、通いたい魅力と味わいのある店舗の場合が多いです。第7波のコロナの拡大は地方にも身近な知り合いのレベルに浸透しています。
雇用調整助成金が無くなる中で、一般のお店がどのような状況になるかを見極める必要があります。市場淘汰や業態変更が一気に進むかもしれません。都市部の居酒屋でも景気のよい回転寿司系の店への切り替えが静かに急速に行われています。
ただここにきて外食業界で唯一の勝ち組であった回転寿司系についても過大広告の問題で信用を失う事態が発生しております。状況は予断をゆるしません。極端な消費の縮減が進む中で、外食そのものが贅沢品として再認識されなければよいと祈るばかりです。
コロナ禍に二番底があった ~ 納品業者ばかりかスーパーも厳しく勝ち組がいない状況に
一般小売系の食品についてはどうでしょうか。
生鮮食品を納品する中小企業にとっては値上げが間に合わず、塗炭の苦しみの最中にあるといえます。
上場を強固なブランドを保持している大手の調味料、加工食品、菓子メーカーなどは値上げを強行する力がありましたが、生鮮食品にはそれがないのがほとんどです。
筆者の関連する企業でも、基礎原料が1.25倍、エネルギー、包装資材関連が1.3倍、人件費が1.1倍、さらにはガソリン高騰に伴う運賃の値上げも迫っています。
逆ザヤになりかねない、ぎりぎりのタイミングで小幅な値上げを実現したや否や、すぐに更なる仕入関連の値上げが、ファックス1枚で通知されるという切迫感のある状況が続いています。
他方で、我が国の人口減による市場飽和の懸念がコロナにより先送りされたいたスーパーマーケット業界も、一定の値上げを受任せざるを得ず、これまでと同様の利益を確保することができなくなっています。
バイヤーが口をそろえて「中身が悪い」というのはその意味です。消費者の節約志向による選別が激しくなっているため、スーパーのほうでも近隣のライバル店舗に先駆けて価格転嫁ができていないのが実情です。とくに酒の肴など、おかずにならないもの、本来必要でないものは厳しい選別の対象になります。
ある程度、国内流通に限定された野菜類については市場の相場性において、割安感がある商品が出回っています。
現在はレタスやキャベツなどの葉物野菜は安定しています。あるいは鮮魚でも、カツオなど漁獲が好調な魚を、当初の計画内容を取り戻すために販売の中心に据えるような動きがありました。ただ、先週の土用の丑の日はどうであったのでしょうか。うなぎについても高騰を続ける中で、どのような結果であったのか、気になります。
このように、業務筋とスーパーという二つの大きな流れの双方が行き詰まっており、これまでのコロナ禍とは異なる新しい事態です。今後は国の支援も限定されざるをえず、この状況に適応したプレイヤーしか生き残ることは難しいと考えるべきです。
水産売場では、秋以降の生牡蠣に期待が寄せられている
8月を前に秋冬商戦が意識される中で期待されているのが生牡蠣です。今期の広島での採苗は順調であることから、前向きな機運が醸成されつつあります。牡蠣についてもパックに使うナイロンや人件費や配送費の高騰は他と変わらないので、一定の値上げ(2割ほど)の必要性はあるでしょう。
ただ、牡蠣はそもそも安く売れらすぎていた観があります。仮に2割ほど値上げをしても、予想では<消費者が受け入れがたいレベル>にまでは至らない可能性があります。救世主にはならないまでも、十分に売場の主役になりうる可能性を秘めています。
牡蠣に含まれている亜鉛は、コロナ予防の観点からも注目されていることから、より多くの人に国産の牡蠣を見直して頂き、その重要な価値に納得してもらえる状況になることを祈ります。
健康機能性に基づく魚食文化の創造再生 | 合同会社イシュメイル
「合同会社イシュメイル」は、魚食の健康機能性を軸とした食文化の創造再生を理念とした会社です。現在、スーパーマーケット、生協、居酒屋チェーン、飲食店などのお客様に向けての様々なサポートを実践しております。また、「令和の広島かき」をはじめとした水産系素材のビタミンやミネラルといった栄養成分を活用したサプリメントの開発を行っております。
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