鯨肉の栄養

 

鯨肉は栄養価が優れた肉です。

高タンパク質低脂肪という鯨赤肉の特性は良く知られています。また皮は脂肪層なのですが、その脂質にはDHA、EPA、DPAといったオメガ３脂肪酸であり、むしろ積極的に摂取すべきものです。

 

しかし、前者については、鶏肉などと比べても際立った優位性はないこと、後者についても青魚やオキアミなどから採取される素材に比べて、鯨皮の価格が際立って高いことから市場性はないのが現実と考えます。大手の健康食品メーカーは、低コスト高品質の商品の大量販売に成功しているところです（サントリーのDHAセサミンなど）。

 

ただ、イミダゾールジペプチド素材として考案され、くじらの赤肉から抽出されたクジラエキスについては、得られる体感という点で特異な位置を占めています。

 

 

 

 

クジラエキスとは？

 

クジラエキスは株式会社まるげい（兵庫県姫路市）が開発したくじらの赤肉を酵素分解した抽出した健康食品原料です。当時、南極海調査捕鯨の倍増によって赤肉原料が大量に在庫となっていたことから（※）、共同船舶からの依頼を受けて開発に着手したものです。現在は、安定供給の見地から、捕鯨会社である共同船舶株式会社が販売元となり、加工メーカーとしての株式会社まるげいから出荷しています。

 

※鯨肉の在庫状況は内部/外部状況により変わります。現在は、商業捕鯨開始に伴う捕獲枠の削減に加え、海外産の原料の入荷のめどがたたないことから、赤肉類や皮類については急速に品薄状態になっています。他方で、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて業務筋（飲食店など）の需要が急減したことで、スーパーマーケットでの販売が難しい高単価商材である上級の鯨ベーコンの原料である畝須（ウネス）や舌（サエズリ）原料についての販売が滞っているようです。

　調査捕鯨から商業捕鯨に至るプロセスで、海域と捕獲枠が絞られたことにより、結果的に鯨肉供給が半減（輸入品を含めると4,000ｔ前後の供給がありましたが、一昨年から約1,800ｔ程度になっている）しているにもかかわらず、なお余剰原料が生じている点に強い危機感を持つところです。

 

 

クジラエキスの効果

 

クジラエキスは発売してから既にかなり年月が経過しています。

その間、ヒト試験などにも使われ、抗酸化作用を起点として疲労感の軽減、ストレス緩和、認知症改善など様々な問題についての優位性などが認められています。抗疲労効果のある健康食品の原料という位置づけを獲得しました。

 

日本捕鯨協会による鯨肉ファクトブック

 

 

まさに史上最大の生物で、ほとんど眠らずに地球上を泳ぎ続けるクジラの秘められた力について面目躍如たる実績です。

 

特に、クジラエキスの知名度を高めたのは、スポーツブランド・用品メーカーである株式会社ファイテン（京都府京都市）の商品、「バレニン」です。

 

クジラには代表的なイミダゾールジペプチドであるアンセリン、カルノシン、バレニンの全てが含まれるのみならず、特にバレニンが豊富に含まれています。クジラにおいてはバレニンが突出していることから、そのものズバリで名付けられた商品です。

 

「バレニン」は、ファイテンのプライベートブランドの中でも、上位の販売実績を誇る人気商品になっています。とにかく体感が得られる！ということで、アスリートをはじめスポーツ愛好家の方々にも重宝されています。度重なるリニューアルを経ながら安定的な販売実績を積み上げています。

 

 

 

 

ファイテンによる公式サイト

 

 

 

クジラエキスの隠れた重要ポイント

 

ところで、こうした商品で得られるクジラエキスの体感の理由ですが、どうもバレニン単体による効果ではないらしいという意見が多いです。実験においても、クジラエキスとして投与しています。必ずしもバレニンの純粋な効果と断定できないのです。

 

特に、くじら肉を分解したときにできる様々な遊離アミノ酸が全体として身体の弱っている部分に効いているのではないかという意見が多数です。実際の開発者から私もそのように伺いました。参考として、共同船舶株式会社から頂いたクジラエキスのアミノ酸数値（分析値）を下記に掲げておきます。